
先進医療ニュース
発表日:2022年06月27日
再生医療用細胞レシピをロボットとAIが自律的に試行錯誤
−ロボット・AI・人間の協働は新しいステージへ−
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクト(研究当時)の神田元紀上級研究員(研究当時、現バイオコンピューティング研究チーム上級研究員)、高橋政代プロジェクトリーダー(研究当時、現バトンゾーン研究推進プログラム眼科領域遺伝子細胞治療研究チーム客員研究員、株式会社VC Cell Therapy 代表取締役)、バイオコンピューティング研究チームの高橋恒一チームリーダー、ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社の夏目徹取締役、エピストラ株式会社の都築拓取締役・CTO、小澤陽介代表取締役・CEOらの共同研究グループは、細胞培養の条件検討を自律的に試行錯誤するロボット・AIシステムを開発し、実際に再生医療で用いられる細胞培養のレシピを改善させることに成功しました。
本研究成果は、科学実験のデザインと実行を自動化する要素技術となり、生命科学実験全般の効率的な試行錯誤や再現性の向上に貢献すると期待できます。
今回、共同研究グループは、高精度な生命科学実験動作が可能な汎用ヒト型ロボット LabDroid「まほろ」[1]と新たに開発した人工知能(AI)ソフトウェア(最適化アルゴリズム)を組み合わせたシステムを設計し、このシステムがiPS細胞(人工多能性幹細胞)[2]から網膜色素上皮細胞(RPE細胞)[3]への分化誘導工程において、分化誘導効率を高める培養条件を人間の介在なしに自律的に発見できることを実証しました。
本研究は、科学雑誌『eLife』(6月28日付:日本時間6月28日午後4時)に掲載されます(WEBの公開は6月28日午後4時の予定です)。
※参考画像は添付の関連資料を参照
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
出典:https://release.nikkei.co.jp/attach/635291/02_202206271552.pdf
iPS細胞の培養、AIとロボットで効率化…理化学研究所など 網膜細胞で成功
人の両腕のようなアームを持つロボットと人工知能(AI)を組み合わせ、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から効率よく目の網膜細胞を作り出すことに成功したと、理化学研究所などのチームが27日発表した。
AIが最適な培養条件を試行錯誤して見つけ出し、熟練技術者の約3分の1の期間で高品質の細胞を作製したという。
論文が28日、国際学術誌に掲載される。
iPS細胞の培養は、経験に基づく作業が多く、わずかな操作の違いが品質に大きな影響を与える。長期間の培養が必要で、手間がかかるという課題もある。
チームは、熟練技術者の手の動きを再現できるロボット「まほろ」とAIを使った細胞培養システムを開発し、性能を検証した。
このシステムは、培養に使う試薬の濃度や処理時間など7項目の条件を様々に変え、最適な組み合わせを120日間かけて自動分析。
正常な網膜細胞に変化する割合は当初40~50%程度だったが、最大91%に向上させた。細胞の品質は熟練技術者が通常約1年がかりで行うものとほぼ同等という。
チームは当面、このシステムで作った細胞を創薬研究に用いる方針だが、将来的には人に移植する再生医療への利用を目指す。
記者会見した神田元紀・理研上級研究員は「理論上、他にも様々な細胞を作れる。多くの研究者に使ってもらい、再生医療の研究全体を加速させたい」と語った。
iPS細胞の培養、AIとロボットで効率化…理化学研究所など 網膜細胞で成功
出典:読売新聞オンライン
iPSで人工涙腺作製、世界初 重症のドライアイ治療に期待
人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、目の涙腺に似た立体的な組織をつくることに世界で初めて成功したと、大阪大の林竜平寄付講座教授(幹細胞応用医学)らのチームが20日、英科学誌ネイチャーに発表した。
チームは、将来的に重症のドライアイの治療法や薬の開発につながるとしている。
目の表面は涙腺から分泌された涙液で乾燥を防いでいる。
免疫疾患の「シェーグレン症候群」などでは涙腺の機能が損なわれ、重いドライアイになる。涙腺は成人では再生せず根本的な治療法はない。 チームは、人のiPS細胞から涙腺の基となる細胞を作製。大きさ数ミリのミニサイズの立体的な涙腺組織をつくった。
【写真】iPS角膜移植 ほぼ目が見えない患者の矯正視力、0.7まで改善も
iPSで人工涙腺作製、世界初 重症のドライアイ治療に期待
出典:Yahoo!ニュース
大阪大学などのグループが、iPS細胞から椎間板を再生する動物実験に成功したと18日発表しました。腰痛治療への応用が期待されます。
椎間板は背骨のすき間でクッションの役割を果たしていますが、加齢などにより変形したり、無くなったりすると腰痛を引き起こす原因になります。
大阪大学の妻木範行教授らの研究グループは、ヒトのiPS細胞から椎間板の中心組織を作って同じ組織を切り取ったネズミに移植したところ再生し、椎間板の変性を防ぐことができたと発表しました。
妻木教授は「(今まで椎間板を)再生することや治療することは薬も含めてできておりませんので、将来的な再生治療の候補の1つになりうることを示しました」と説明しています。
椎間板の変性が原因で腰痛を患っている人は国内で最大500万人以上いるとみられています。研究グループは有効性や安全性を確認する実験を経て、3年後をめどに臨床研究を行いたいとしています。
大阪大 iPS細胞で椎間板再生実験に成功 腰痛に悩む人に朗報か 3年後に臨床研究目指す
出典:Yahoo!ニュース
一般社団法人 AIM医学研究所 (英名 The Institute for AIM Medicine:略称 IAMアイアム) 設立のお知らせ
ヒトとネコのためのAIM創薬研究に加え、診断薬、サプリ・ペットフードの開発、さらにAIMの基礎研究など、AIM研究をトータルで大きく加速させるために、一般社団法 AIM医学研究所(The Institute for AIM Medicine:略称IAM)を発足させることに致しました。私は、3月末をもって大学を離れ、所長としてIAMに専任し、現在の研究室のメンバーもIAMで私と共にAIM研究を続けます。4月1日の発足に先立ち、設立のご報告を https://iamaim.jp/ に掲載いたしましたのでご一読いただけますと幸いです。
分子病態医科学・教授 宮崎徹
九大の研究チーム マウスの聴力回復に成功 難聴の治療に期待 福岡市
九州大学の研究チームは、耳が聞こえなくなったマウスの神経細胞を増殖させることで聴力を回復させることに成功したと発表しました。
九州大学大学院の中島欽一教授らの研究チームは、「内耳」に傷を負ったマウスに特定の細胞を増やすタンパク質を投与したところ、細胞が増殖し、その一部が脳に音を伝える神経細胞に変化していることを発見しました。
さらに、てんかんの治療などに使われる「バルプロ酸」を投与することで、その神経細胞の増殖をさらに促進させることに成功し、マウスの聴力が回復したことを世界で初めて確認したということです。
これまでけがをした哺乳類の内耳や聴覚神経は再生しないと考えられていましたが、研究チームでは今後、対症療法にとどまっていた難聴の根本的な治療に繋がるのではないかと期待しています。
九大の研究チーム マウスの聴力回復に成功 難聴の治療に期待 福岡市