ラット使い人工肝臓作製、九大 iPS細胞由来は「世界初」 KYODO

九州大病院の武石一樹助教らのグループは3日、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って人工肝臓を作製し、移植したラットの体内で機能させることに成功したと発表した。人への移植に応用できれば、肝不全の患者の治療に役立つ可能性がある。

 研究成果は3日、米科学誌電子版に掲載。武石助教によると、iPS細胞由来の人工肝臓の作製は世界初という。

 研究では、人のiPS細胞から肝臓に必要な肝細胞や胆管細胞、血管内皮細胞を分化させ、ラットの肝臓から細胞を抜き取って作った鋳型に分化した細胞を注入し、ラットに移植できるミニ人工肝臓を作製した。

完全人iPS細胞による人工肝臓作成と生体内での機能解析

出典:九州大学

2019年 7月1日 産経新聞 富士フィルムががん免疫薬 独製薬大手とips活用

富士フイルムホールディングスは1日、ドイツ製薬大手バイエルと人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったがん免疫薬を開発する方針を発表した。患者以外の第三者のiPS細胞を製造に使い費用を安くできる可能性があるという。

 富士フイルム傘下の米企業が米ファンドと設立した会社に、バイエルが出資。開発費は2億5千万ドル(約270億円)を見込み、バイエルが9割弱を負担する計画だ。米企業が製造を担当し、数年後に米国で臨床試験を始める方向だ。

 免疫細胞の遺伝子を操作して、がんへの攻撃力を高める「CAR-T(カーティー)細胞療法」と呼ばれる技術を活用する。

富士フイルムががん免疫薬 独製薬大手とiPS活用

2018年12.20 産経新聞 100万円で「マイiPS」 山中伸弥氏が目標掲げる

京都大iPS細胞研究所の山中伸弥所長は20日、文部科学省の専門部会に出席し、患者本人の細胞から作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、数年後には低価格で供給したいとの考えを述べた。山中氏はこの細胞を「マイiPS」と呼び、数千万円かかっている費用を100万円程度に抑えることを目標に掲げた。

 京大は、健康な第三者の血液や臍帯血から作ったiPS細胞を備蓄し、再生医療用に企業や研究機関に提供している。

 細胞は拒絶反応が起きにくいタイプで、現状では日本人の約40%に移植可能。だが、患者の体にとっては異物なので、免疫の働きを弱める免疫抑制剤を使わなければならなくなる。

 山中氏は部会で「患者由来の細胞を低コストで作ることを進めたい」と発言。遺伝子を思い通りに改変するゲノム編集技術を応用して、より広範囲の人に移植可能な細胞の開発も目指すとした。

100万円で「マイiPS」 山中伸弥氏が目標掲げる

出典:産経新聞

2月5日 産経新聞  iPS心筋移植、慶大が了承 今夏にも実施

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓の筋肉(心筋)細胞を球状に加工し、重い心不全患者の心臓に移植する福田恵一慶応大教授らの臨床研究について、同大の委員会が計画の実施を了承したことが5日、分かった。近く厚生労働省に実施を申請し、今夏にも移植を実施する



心筋が薄くなって収縮力が落ち、不整脈などの心不全症状が起きる「特発性拡張型心筋症」という難病の患者が対象。幅広い年齢で発症し、国内患者数は2万人以上とみられている。



 重症患者に移植し、安全性と有効性を1年間確認する。昨年5月に学内の委員会に審査を申請していた。



 iPS細胞を使い心不全の症状改善を目指す再生医療の研究は大阪大が先月、シート状の心筋細胞を心臓に移植する別方式の手術を実施。慶大の計画が実施されれば2方式目となる。



 京都大が備蓄しているiPS細胞から心筋細胞を作製。約千個をひとかたまりの球状に加工し、特殊な注射針で心臓の複数の場所に移植する。患者1人に移植する細胞は計約5千万個。移植後に心臓の一部として成長し、心機能の改善が見込まれるという。


 iPS細胞から作る細胞はがん化の恐れがあるが、安全性が高い作製法を開発し動物実験で移植後にがん化しないことを確認した。福田教授は「安全性を確認して治験に進み、令和4年ごろの再生医療製品の承認を目指す」と話している。

iPS心筋移植、慶大が了承 今夏にも実施

出典:産経新聞

1月30日 毎日新聞​ 脳性まひの新生児に「Muse細胞」使った治験開始へ 名大病院

名古屋大医学部付属病院は30日、酸素不足などによる脳症で生まれた新生児に対し、多様な細胞に分化する能力を持つ「Muse(ミューズ)細胞」を使った治験を2月下旬から始めると発表した。



対象は、新生児が難産などで仮死状態になり、脳に酸素や血流が不足して脳性まひなどの意識障害を引き起こす「新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)」。脳性まひは出生1000人に対して2~3人の割合で生じ、その主な原因はHIEだ。現状の治療法では頭を冷やす「低体温療法」しかなく、効果も限定的なため新治療法が望まれている。

 治験では、HIEで低体温療法を実施した新生児に対し、ミューズ細胞製品「CL2020」を点滴投与し、安全性を評価する。東海地方の病院で生まれた新生児が対象で、2023年9月までに最大12人を予定する。

 ミューズ細胞は、体中のさまざまな細胞になる可能性を持つ多能性幹細胞。血液中に投与すると傷ついた場所までたどり着き、新たな細胞に変化して機能をよみがえらせる特徴がある。

 治験責任者の佐藤義朗・同病院講師は「マウスを使った実験でも有効性と安全性が確認できており、人でも効果を見込めると期待している。今回の治験で安全性を確認後、有効性についての別の試験も行い、30年ごろには実用化を目指したい」と話した。【細川貴代】

1月30日 毎日新聞​ 脳性まひの新生児に「Muse細胞」使った治験開始へ 名大病院

出典:毎日新聞

1月27日 産経新聞 iPSで心臓治療 大阪大が初の移植 手術は成功

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から心臓の筋肉(心筋)細胞を作り、シート状に加工して重症の心不全患者に移植する治験について大阪大の研究チームは27日、最初の移植手術を今月実施したと発表した。手術は成功したという。iPS細胞を使った心臓病の治験は世界初としており、再生医療による新たな治療法の確立に向けて大きな一歩となった。

 チームの澤芳樹教授らによると、移植手術は虚血性心筋症という心不全の患者に実施した。実施日や患者の年齢、性別は明らかにしていない。27日に一般病室に移り、容体は安定しているという。

 虚血性心筋症は心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、血液を送る力が衰える病気で、重くなると死に至る。根本的な治療には心臓移植が必要だが、国内では臓器提供者が慢性的に不足しており、再生医療の実現が期待されている。

 チームは、拒絶反応が起きにくい免疫タイプの健常者の血液から京都大が作製し備蓄しているiPS細胞を使用。心筋細胞に分化させ、直径4~5センチ、厚さ約0・1ミリの円形のシート状に加工し、患者の心臓に3枚貼り付けて移植した。

 心筋シートは血管の形成を促進する特殊なタンパク質を分泌。これにより血流が回復し、傷んだ心筋を再生させる。シートは自然に拍動し、心臓の拍動を強める働きもあるとみている。



1年間にわたって経過を観察し、がん化の有無などの安全性や治療効果を確かめる。保険が適用される治療として適切かどうかも評価する。

 会見した澤教授は「ようやく第一歩が始まった。きちんと経過を観察し、一人でも多くの患者が助かるような再生医療を確立したい。5年以内の実用化を目指す」と意欲を見せた。

 チームは当初、基礎研究の意味合いが強い臨床研究として実施することを計画し、国の承認を得た。だが昨年10月、保険医療としての適切性も評価され、より実用化に近づく治験の枠組みで行う方針に転換した。3年程度で計10人の患者に実施する計画だ。

 iPS細胞を使った再生医療の臨床研究では、目の病気やパーキンソン病の移植手術が既に実施されている。心臓病では慶応大が心筋細胞の塊を移植する別の手法を計画している。

iPSで心臓病治療 大阪大が初の移植 手術は成功

出典:産経新聞

関連するまとめ

再生医療機器ニュース

新聞等に掲載された、再生医療に関する機器をご紹介します。

info / 969 view

関連するキーワード

アクセスランキング

人気のあるまとめランキング

人気のキーワード

いま話題のキーワード